接触冷感の効果は持続しない?
インターネットでも実際の店舗でも、接触冷感の寝具は定番と呼べるほど、非常に多くなりました。一昔前のものと比較すると、今は安価で、冷感も強くなってきています。
接触冷感の寝具が多くなりましたが、購入するときにイメージするのは、なんとなく敷きパッドが多いのではないでしょうか。
というのも、掛けるものは軽くて通気性のよいものを使えば、それなりに寝苦しさは軽減できます。しかし、敷くものは、ずっと身体と接しているため、すぐに暑くて寝苦しくなったり汗をかいてムレてしまったりしやすいです。
接した部分に熱がこもったり、汗をかいてムレてしまったりすると、接触冷感が弱く感じてしまいます。
もちろん、冷感の掛け布団でも同じことがいえます。
ではそもそも、接触冷感とはどんなものなのでしょうか。
接触冷感の生地は何故冷たいの?
触るとひんやり感のある、接触冷感の生地は、なぜ冷たく感じるのでしょうか。
理由は、熱伝導性がよいためです。熱伝導性がよいとは、触れたものの温度が移動しやすいということです。
熱は、温度の高いほうから低い方に移動します。冷えた鉄やコンクリートを触って、ひんやりと感じたことはないでしょうか。
これは鉄やコンクリートの熱伝導性がよく、触れた肌の熱が奪われて、冷たく感じるのです。
この熱伝導を寝具で使い、触れた瞬間のひんやり感を作り出します。
Q-maxとは
冷感寝具をよく見かけるようになってから、Q-MAXという値も見る機会が増えたと思います。この数字は何なのでしょうか。
Q-maxとは、同じ温度のものでも、触ったときにどれだけ熱が移動するかを数値化したものです。数字が大きくなるほど、触れた瞬間に熱が移動しやすい素材であるということです。
Q-MAXが0.3のものよりも0.4のものの方が、熱が移動しやすいので、ひんやりと感じます。
JIS規格の接触冷感性試験方法は下記のように定められています。
1.室温と試料(測定台)を同じ温度に設定します。
2.室温の+10℃(ΔT=10℃)に加熱した測定部を試料に接触させます。
3.接触初期の熱源板の温度を測定し、熱流束を算出します。算出した熱流束の極大値(W/cm2)をqmaxとします。
出典:接触冷感性試験(JIS L 1927) 一般財団法人カケンテストセンター
https://www.kaken.or.jp/test/search/detail/5
Q-MAXが0.2以上であれば、接触冷感効果があるといえますが、実際に触ってひんやりと感じるには、個人差にもよりますが、概ね0.3必要かなと思います。
0.4以上あれば、多くの人がひんやり感じられるでしょう。実際、各社から販売している冷感寝具は0.3以上のものが非常に多く見受けられます。
Q-MAXの数字が高ければ、ずっと冷たくて眠りやすいというわけではありません。あくまでも熱の移動しやすさであるため、素材が熱を持ってしまうと、それ以上は熱が移動できなくなり、触り心地も冷たく感じなくなっていきます。
冷感素材の種類
Q-MAXの値が0.2以上であれば、接触冷感効果があるといえる、ということがわかったところで、では実際に接触冷感寝具に使われている素材はどんなものがあるでしょうか。
近年で一般的に多い接触冷感素材はナイロンです。ナイロンは吸湿性が弱く、ムレやすくはありますが、安価な素材なので広く使われています。インターネットで検索してみると、ナイロンのものが多く見受けられると思います。
しかし、吸湿性が弱く、ムレやすいので、高いQ-MAX値だったとしても、必ずしも快適とは限りません。湿度が高くなると、ふとんの中が蒸し暑く感じやすくなってしまいます。
昔ながらの素材では、麻も接触冷感効果があります。高価な素材ではありますが、通気性や吸放湿性にも優れていて、仮にナイロンと同じQ-MAX値であったとしても、快適に過ごせるものが多くなります。
もちろんですが、麻だけでできたものと、麻が少々使われているだけものでは、過ごしやすさも変わってきます。冷感寝具に限ったことではありませんが、お値段なりの快適さになると考えていただければわかりやすいかと思います。
少々珍しいものでは、Outlast(アウトラスト)というものがあります。Outlastは繊維の中にマイクロカプセルが入っていて、これが温度を調整してくれます。
冷感だけでなく、常に温度を一定に保とうとする性質を持つので、宇宙服の内部にも使われています。Outlastを使用した寝具は決して安価なものではありませんが、一度使うと納得ができる素材です。
接触冷感寝具の選び方
様々な種類がある接触冷感寝具ですが、自分に合ったものを選ぶとなると何を基準にするべきなのか迷うところです。Q-MAXの説明でも触れた通り、素材そのものが熱を持ってしまうと、熱が移動できなくなり、ひんやり感はなくなります。
なくなったひんやり感はどうしたら復活するのかというと、熱を逃がしてあげると復活します。エアコンの冷房が効いている部屋であれば、肌に触れていない部分の熱は逃げていきます。
健康的な大人であれば、一晩に約20回程度の寝返りをうちます。このときに、肌に触れる部分が変わり、ひんやり感が持続します。
熱を逃がすときに大切なのは、通気性がよいことです。通気性がよければ、風が通って効果的に放熱できます。さらに、通気によってこもった湿度が乾くと、気化熱により寝具の温度が下がります。(気化熱とは、水分が蒸発するときに周囲の熱を奪うことです)
ひんやり感だけでなく、肌触りも大切です。湿度が高い夏だからこそ、さらりとしていたほうが、夏の寝具として快適に過ごせるのではないでしょうか。
ディーブレスおすすめの夏寝具
ICEMAX 冷感敷きパッド
特許技術を使用した繊維を効果的に並べて、熱を効率的に移動させて、ひんやり感が持続します。
生地はメッシュ素材で、放熱や放湿に優れていて寝汗もすぐに発散させます。
DEEP COOL(ディープクール)
触れた瞬間サラサラ、Q-MAX 0.541でひんやり。ひんやりだけでなく、もっちりとした肌触りが気持ちよい寝具シリーズです。
洗ってもすぐ乾くほどの速乾性があり、寝汗もすぐに発散させます。
掛け布団カバーは、中に掛け布団を入れずに使えば、ひんやりケットとしてもお使いいただけるので、初夏から秋口まで、長いシーズンをカバーします。
落ち着いたカラーリングがお部屋にも馴染みます。
The ICE 27
Outlast(アウトラスト)を使用した、温度を一定に保とうとする寝具シリーズです。
寝具自体が27~33℃をキープしようとするので、快適な温度が長く続きます。
ニット生地より通気性の高いので、ムレにくく、涼しく仕上がりました。
火照った身体の熱をサーッと逃がし、寝汗を吸い取ってくれてべたべたしません。
圧倒的な冷たさを感じられるように、肌掛け布団と敷きパッドのW使いがおすすめです。
夏の夜を快適に
接触冷感の寝具はたくさんありますが、ずっとひんやりしているわけではありません。触れた瞬間に冷たく感じるという仕組みです。
それだけではなく、どのように使えば効果的に感じられるかを考えて、自分に合った寝具をお探し下さい。
最後になりますが、冷感寝具だけでは熱中症は防げません。適度にエアコンと組み合わせて夏の快眠を目指しましょう。